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「中学生の歴史<日本の歩みと世界の動き>(発行:帝国書院)」を読んだ感想

 周庭氏が逮捕された報道の背景を追っているうちに、そもそもの歴史を理解していないことに気づいた。復習がてら中学生の歴史の教科書「中学生の歴史<日本の歩みと世界の動き>(発行:帝国書院)」を一読したので、その感想を書く。

 

 この教科書は、中国寄りの視点で日本で起きた事象とその背景が書かれている。たとえば、古代日本が卑弥呼を女王にした補足として、中国の「魏志倭人伝を要約した文章を参考資料として載せていたり、各時代毎に中国の状況がどうだったか、それをみて日本がどう判断したのかというのが丁寧に説明されている。

また参考資料が多く読みやすい。「関連する国宝」「年表」「地理」「当時の生活を様子を描いたイラスト」等が全体の半分程を占める。特に読み応えがあったのは五・一五、二・二六事件後、軍部主導になり終戦に至るところ。当時の日本の異常さが証言や手記、新聞(事実との差異)等の資料で説明している。脚色はないので下手な創作物よりも刺激が強い。

 

 自分が学生だった頃の歴史の教科書は、年表を軸にした暗記すべき用語の羅列で主観が少なかった。比べて今の教科書は「過去の日本には落ち度があった。同じ過ちはするな。」という著者達の主張を強く感じる。偏っているが、読み物としてもおもしろく、歴史に興味を持たせるという点でも素晴らしい教科書だと思う。